第15回ONE×ONE BUS レポート【テーマ:自律社会】
皆様、こんにちは😃
冷え込む日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか❓❓
先日開催された「第15回ONE×ONE BUS」について、営業人材開発部 加藤が執筆しました✨お仕事の合間に、ぜひご一読ください🙇♂️
【ONE×ONE BUSとは】
株式会社熊谷組、AGC株式会社、NECネッツエスアイの3社で開催している、どなたでも参加可能な異業種交流会です👏
この会は、いい社会・いい会社、魅力的な人づくりを目指し、多くの人々が抱える共通の悩みや普段当たり前すぎて考えることのないことに対して、真剣に議論を重ねます。そして、社内だけでは生まれることのない新たな気づきや発想、そして、社内社外を問わない繋がりを生むことを目的としています✨✨✨
毎回、様々な分野でご活躍されている方々にご登壇いただき、そのお話を聞いて参加者がテーマに対する議論をしています。
2016年から始まったこの会は、これまで延べ1,500名もの方にご参加いただいています🙌🙌
今年度は「サステナビリティ 持続可能性」をメインテーマとして掲げ、既に多くの方にご参加いただいています😎
今回のテーマは「自律社会」
榊 正壽 氏(榊公認会計士事務所 所長)にご登壇いただきました👏
【榊 正壽 氏について】
茨城大学大学院農学研究科修士課程修了。東北大学教授。公認会計士・システム監査技術者。
1988年に太田昭和監査法人(現・EY新日本有限責任監査法人)に入所。代表社員、常務理事等歴任。
グローバルに事業展開する日本企業の監査・アドバイザリー業務、金融機関・官公庁等のシステム監査に従事してきた。
世界4大会計事務所のひとつであるErnst & Youngにおいて、日本エリアのChief Knowledge Officer, Chief Information Officer等を歴任。
【講話内容】
過去に当社の監査を担当していた公認会計士である榊先生から、長年多くの企業を監査してきた視点で「サステナビリティ経営の現在から近未来」についてお話しいただきました。
現在、企業は SINIC理論(※本記事にて簡単に紹介しています)でいうところ最適化社会へ向け、取り組んでいるところですが、今後10年で「自律社会」への取り組みがメインストリームになってきます。
その観点で、「分配の見直し」による社会課題解決(ESG等)から「価値の創造の転換」によるポスト資本主義への移行(DAO等)に触れていきます。
【講話内容 一部要約】
①GAFAが反映する現代社会
1.現代の「富」=「お金」と解釈する場合
→GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)に富が集中している
2.お金の流れ(=金流)は情報の非対称性によってコントロールされる
→GAFAは、情報価値を有し、情報をコントロールできる立場にある
⇒GAFAに「富」が集中する仕組みができている
②サステナビリティ経営の機運
■SINIC理論から現代社会を考察
1.SINIC理論とは
・オムロン株式会社 創業者立石一真が1970年に表した高精度な未来予測理論
2.現代社会は最適化社会(SINIC理論では2005年~2025年に定義)
・「最適化社会」とは
→価値観が転換し、物質的豊かさから心の豊かさを重視する社会
→最適化社会のその先、「自律社会」の萌芽が見られる時代
・現在は「情報化社会」?
→現在の技術が完成されたのは2000年~2005年辺りであり、現在はその
技術を応用している時代
⇒SINIC理論では「情報化社会(IT革命社会)」は2005年まで
しかし、情報化社会は終わった訳ではなく、その延長線上に
「最適化社会」が展開されている
3.「SINIC理論」への蓋然性
・資本主義社会ベースに成り立つ現在社会
→SDGs, Well-beingまでもがマネタイズされている
⇒ビジネスへの転用の是非はともかく、資本主義社会でありながら、
SDGsやWell-beingが求められる時代へと突入していることは
「最適化社会」への転換の証左
・社会転換の加速
→従来の緩やかな社会転換から、異常気象やパンデミックによって
その速度が加速し、「最適化社会」へと転換を成したことにより、
「SINIC理論」の蓋然性は増している
■「適切な分配」
1.岸田政権の「新しい資本主義」
・政策主軸は「付加価値(富)分配の最適化」(貧富格差の是正)
→税制改革による分配是正は頓挫している
⇒しかし、政策による分配是正は「最適化社会」を目指す動きと言える
2.トマ・ピケティの『21世紀の資本』によると
・「分配を適正化しないと、経済成長は生まれない」
・同様の研究結果の論文が、様々なところで発表されている
3.ガバナンスで「分配」問題は解決できるか
・ESG投資のG=ガバナンス(企業の統治)
①本来の「コーポレートガバナンス」とは「株主、経営者、従業員など
全てのステークホルダーのもの」と定められる
→全てのステークホルダーへの分配を目的とする
②金融資本主義の下での「コーポレートガバナンス」
→「会社は資本を投下する株主のもの」という考えが重視で、株主の
利益を守るために仕組みに過ぎない
⇒2つの異なるコーポレートガバナンスが混在している状況
4.株主第一主義の見直し:SDGs経営の幕開け
・高まるSDGs経営の機運
→エコノミックキャピタル(金融資産など)に加え、
ヒューマン・ファンダメンタルズ・キャピタルとソーシャルキャピタル
のマネジメントが求められる
→SDGs経営時代の幕開け
⇒全ステークホルダーの「ikigai」のための経営
③自律社会の到来
■RICE WORKとLIFE WORK
・現在は、RICE WORK(生きながらえるための仕事)偏重の仕事形態
→LIFE WORK(個人の内発的動機起点、パーパス実践の仕事)との両立が
重要であり、生きがいを味わうための仕事をすることで飯(RICE)を
食べられる企業経営へシフトする必要
→(下図参照)RICE WORKとLIFE WORKの2つの領域が重なるアーモンド
領域(ikigai)を味わうための仕事をすることで飯を食べられる企業経営
を行う
⇒「ikigai経営」
⇒モノのマネジメントから人のikigaiを支援する「ikigai経営」へ変遷
することが「最適化社会」から「自律社会」へ変化する過程である
■「エネルゲイア」と「キーネシス」(アリストテレス提唱)
・エネルゲイア:プロセス重視(芸術活動はエネルゲイア的)
・キーネシス:結果重視(ビジネス活動はキーネシス的)
・「最適化社会」の仕上げ、「自律社会」に向かって
→キーネシス的価値観からエネルゲイア的価値観への転換が進んでいる
⇒SDGsなどの新しい価値観が資本主義システムに組み込まれるように
・利益最大化と社会的便益向上との両立の困難さ
→エネルゲイア的に瞬間瞬間を味わうことの積み重ねによって社会的便益
向上に繋げていくことの方が、現在の現象への適合性が高い
→ロジカルな行動よりも感覚的な行動が最近の社会への適合性が高くなる
可能性を示唆しているが、ビジネスの成功はこれまでロジカルな思考に
優位性がある
⇒社会的に成功したとされる人々はそのようなビヘイビアで生きてきた
ため、現代社会では感覚的なビヘイビアへの切り替えるはまだ難しい
・昨今の社会現象の影響
→コロナパンデミック(科学的対処法が明確でない現象)、Z世代の新しい
感覚(お金やストイック労働に価値を見出さない)などから感覚的、
エネルゲイア的な行動への変化が進む蓋然性が高まる
■「共感資本社会」の感覚
・エネルゲイア的行動へのシフトには、株式会社eumoの掲げる
「共感資本社会」の感覚が重要
→「共感資本社会」では自己同一性の獲得、自他同一性の獲得により
互いの情報や理解の非対称性が解消される
・「共感」=互いの情報や理解の非対称性が解消されること
→情報の非対称性を無くせば、綿密な計画設計や進捗管理(キーネシス)
を行わなくても物事は加速度的に進む
⇒「共感」も自律社会実現に向けた重要なファクター
■FIRE(経済的自立と早期リタイア)
・金が金を生む「虚業」によって「自分らしさ」を実現する手法
→活動的には、実質的価値を生み出すものではないが、資本主義社会と
自由な生活の折り合いをつける手段
→手法は資本主義的だが、仕事に縛られず自由に生きることを実現
・現在は資本主義社会
→どんな活動にも「お金」がついて回る
⇒FIREは資本主義社会において「生きづらさ」を解消する手段である
・資本主義社会の最終形態たる「最適化社会」
→資本主義のフレームワークの中で「お金」ではない価値を向上しよう
とする試み
→FIREは「自律社会」への転換の狭間で生まれた社会現象の可能性がある
この他にも、様々なお話をしていただきました。
近年の劇的な環境(地球や労働など)の変化によって、転換期を迎えている現代社会。
ご興味をお持ちになった方は本記事の最下部に記載しております録画アーカイブをご覧ください。
【参加者の声(一部抜粋)】
「現役の経済学部の大学生として大変勉強になりました!!組織の自立と共にライスワークとライフワークの両立(アーモンド)がとても重要だと感じました!!」
「大変勉強になりました。まだ理解が追い付いていないので、何度か見返したいと思います。榊先生の講演が聞ける機会があれば参加したいと思います。」
【次回開催予告】
第16回 ONE×ONE BUS
日時:2022年1月23日(月)18:10~20:10(開場:18:00)
場所:zoom
テーマは「リセット」
千葉 龍一氏(株式会社生き直し 代表取締役)にご登壇いただきます。
本記事をきっかけにご興味を持ってくださった方は、是非一度ご参加してみてください❗❗
参加申し込みは、下記URLより承っております。
https://app.sli.do/event/6aRCTcXGMFdJ41TXXRyGqz
[千葉 龍一氏]
1982年東京生まれ 獨協大学法科大学院卒。
大学時代に自らハンドルを握るクルマで交通事故を起こし、助手席にいた高校時代の野球部の友人を亡くし、人生のどん底へ。『自分が生きることは許されない』と思うようになる。
しかし、野球部の仲間やたくさんの友人に助けられ、自分の命の使い方は誰かのためにあるべきだと決意。その後、縁があり日本駆け込み寺の門をたたくことに。駆け込み寺で玄秀盛の師事を仰ぎ成長し、刑余者の支援をするようになる。そして、駆け込み寺での経験を活かし、自身で刑余者の支援をする道へと進む。
メディアにも取り上げられることも多い、よろず相談を駆け込み寺スタッフとして行い、5年在籍期間に100名近くの相談を受ける。
一般社団法人再チャレンジ支援機構スタッフとして刑務所出所者等100名近くの相談対応と、駆け込み寺自立準備ホームの施設長として管理を担当し、刑務所出所者78名の受け入れを行う。
その後、独立して株式会社生き直し、一般社団法人生き直しを立ち上げる。
4年半生き直しの施設長として刑務所出所者等66名の受け入れを行う。(2022年11月末)
現在、男性寮3施設・女性寮1施設の計4施設の運営しており、10名前後の支援をしている。
【NECネッツエスアイの社員向け】
NESIC社員の方は、下記URLより録画アーカイブをご視聴いただけます。
URL; https://onenec.box.com/s/z9y7ap7tvs0z1dwozivpx1t4la0lrsmd
【一般の方向け】
下記URLより ONE×ONE BUS のFacebookグループに登録いただくと、アーカイブを視聴できます。
URL: https://www.facebook.com/groups/854021615226720/?ref=share
是非、一度ご覧ください🙇♀️🙇♂️
ここまでお読みいただきありがとうございました✨
以上、営業企画本部人材開発部 加藤がお送りいたしました❗❗