第16回ONE×ONE BUS レポート【テーマ:リセット】
皆様、こんにちは😃
季節の変わり目ですが、いかがお過ごしでしょうか❓❓
先日開催された「第16回ONE×ONE BUS」について、営業人材開発部 加藤が執筆しました✨お仕事の合間に、ぜひご一読ください🙇♂️
【ONE×ONE BUSとは】
株式会社熊谷組、AGC株式会社、NECネッツエスアイの3社で開催している、どなたでも参加可能な異業種交流会です👏
この会は、いい社会・いい会社、魅力的な人づくりを目指し、多くの人々が抱える共通の悩みや普段当たり前すぎて考えることのないことに対して、真剣に議論を重ねます。そして、社内だけでは生まれることのない新たな気づきや発想、そして、社内社外を問わない繋がりを生むことを目的としています✨✨✨
毎回、様々な分野でご活躍されている方々にご登壇いただき、そのお話を聞いて参加者がテーマに対する議論をしています。
2016年から始まったこの会は、これまで延べ1,500名もの方にご参加いただいています🙌🙌
今年度は「サステナビリティ 持続可能性」をメインテーマとして掲げ、既に多くの方にご参加いただいています😎
今回のテーマは「リセット」
千葉 龍一 氏(株式会社生き直し 代表取締役)にご登壇いただきました👏
【千葉 龍一 氏について】
大学時代に自らハンドルを握るクルマで交通事故を起こし、助手席にいた高校時代の野球部の友人を亡くし、人生のどん底へ。『自分が生きることは許されない』と思うようになる。
しかし、野球部の仲間やたくさんの友人に助けられ、自分の命の使い方は誰かのためにあるべきだと決意。その後、縁があり日本駆け込み寺の門をたたくことに。
駆け込み寺で玄秀盛の師事を仰ぎ成長し、刑余者の支援をする。そして、駆け込み寺での経験を活かし、自身で刑余者の支援をする道へと進む。
メディアにも取り上げられることも多い、よろず相談をしている駆け込み寺スタッフとして5年の在籍期間で100名近くの相談を受ける。
一般社団法人再チャレンジ支援機構スタッフとして刑務所出所者等100名近くの相談対応と駆け込み寺自立準備ホームの施設長として管理を担当し、刑務所出所者78名の受け入れを行う。
その後、独立して株式会社生き直し、一般社団法人生き直しを立ち上げる。
4年半生き直しの施設長として刑務所出所者等66名の受け入れを行う。(2022年11月末)現在男性寮3施設・女性寮1施設の計4施設の運営しており、10名前後の支援をしている。
その他、多数メディアに記事掲載(朝日新聞・東京新聞・中日新聞・NHK等)
【講話内容】
交通事故を起こし、助手席にいた友人を亡くし、人生のどん底を経験した千葉氏。自分の命の使い方は誰かのためにあるべきだと決意し、出所者の支援に従事しています。
どんな人でも「生き直し」ができる社会への取り組み(出所者の駆け込み寺、自立準備ホーム)についてお話を伺いました。
【講話内容 一部要約】
1.現在の取り組みに至るまで
①交通事故
千葉さんは大学生の頃、自身の運転していた車で交通事故を起こしてしまい、同乗していた友人を亡くしてしまいました。裁判を受けることになった千葉さんは、「こんな自分なんてどうなってもいい」と友人を亡くした責任から、自暴自棄になっていました。
しかし、高校時代の友人らが嘆願書を集めたことにより、結果的に千葉さんは執行猶予となり、服役することはありませんでした。
このときから、千葉さんは「自分の命を誰かのために」という信念を抱くこととなりました。
②日本駆け込み寺
事故の後から、千葉さんは司法試験合格へ向け勉強に打ち込んでいきます。
しかしながら、中々望む結果は得られず10年の時間が経っていました。
その間も家族や友人は、千葉さんを咎めることはなく暖かく見守ってくれていたそうです。
このことから、一層「誰かのために」という想いを強くした千葉さん。
そんな折に出会ったのが「日本駆け込み寺」の求人募集でした。
「日本駆け込み寺」とは、DV被害や非行青少年などの「困りごとの総合病院」として設立された団体で、これまで延べ5万人もの人が相談に訪れています。そして、その相談者の中には、出所者も多くいます。
千葉さんは、自身も罪を犯し、周囲に助けられた経験から、駆け込み寺へと就職しました。
③日本の出所者の現状と、千葉さんの取り組み
現在、日本の再犯者率は48.6%(令和4年度 犯罪白書)と、とても高い状況となっており、再犯を繰り返してしまう人々を支援しないと、被害者が益々増えてしまうといった課題があります。そして、再犯を繰り返す人々の実に7割(2020年時点)が無職というデータがあります。こうした現状から、駆け込み寺では出所者の相談者に対し仕事の紹介を行っており、千葉さん自身も建設業などの紹介を行っていました。
しかしながら、職に就いたものの中々続かないといった課題がありました。
この課題に対し駆け込み寺は、ある飲食業者と連携し出所者の働き口として「駆け込み餃子」という飲食店をオープンしました。これには、飲食店であれば人と関わり合い、「感謝」の言葉も貰えることから、出所者の承認欲求を満たすことができるといったメリットがありました。
働き口の問題が解決された後に問題となるのは、出所者の住まいに関する問題でした。
そこで駆け込み寺は、出所者の住まいとして、「自立準備ホーム」を開設しました。「自立準備ホーム」とは、刑務所から出所してきた人が住むことができる施設です。そして、この「自立準備ホーム」は現在の千葉さんの活動の先駆けとなる取り組みであり、千葉さん自身もこのホームの施設長を務め、延べ78名の出所者を受け入れました。
④現在の取り組みへ
その後、自立準備ホームは諸般の問題により閉鎖することとなりました。
「まだ出所者の支援に携わりたい」という想いを抱えていた千葉さんは、出所者の住まいを提供することにしました。
これが、現在の取り組みへと繋がっていき、
現在では「生き直し寮」という施設を4つ展開しており、延べ69名の出所者を受け入れています。
2.なぜ再犯者が減らないのか
①刑務所での更生の難しさ
刑務所から出所後、支援が無いと再犯しやすいといった現状があります。
その理由には以下が挙げられます。
■私語禁止 → コミュニケーション能力の欠如
■決められた行動 → 自発性の欠如
■安い刑務作業費 → 月々4,320円(東京都の最低賃金1,072円/時)と、出所後すぐに貧困してしまう
■資格が活きない → 望んだ資格を取得出来る訳ではなく、資格の居住地欄も刑務所となることから、出所後に活用することが困難
■悪友が出来る → 出所後に更に罪を犯してしまう
これらの理由から、出所者の約6割が再び刑務所に入所してしまうことなになっており、その内の更に半数は2年以内に入所しています。
②出所後の生活の課題
出所の方法は主に以下の2つが挙げられます。
■仮釈放:期間満了前に、仮に釈放をすることで更生の期間を与え、円滑な社会復帰を目指す。保護観察が付き、一定の条件の下で釈放が認められる。
■満期出所:収容期間満了による出所
こちらの画のように、仮釈放の人に対する支援が手厚い一方で、満期出所の場合、刑期満了後は突然社会に戻されることから、ホームレスになるか再犯するかの2択を迫られるケースが多くあり、仮釈放の2倍以上が再入所しています。また、満期出所者の50%前後(毎年)が出所後に帰る家がないという状況になっています。
3.「生き直し」の支援について
①生き直しの活動
千葉さんは、「生き直し」の取り組みとして、以下のような支援を行っています。
更生保護施設や、自立準備ホームとは、帰る家のない出所者などが一時的に住む民間の施設のことを指し、就労支援や自立へのサポートも行っています。
②取り組みの中で学んだこと
「出所者と関わることは怖くないですか?」
千葉さんはこういった質問を受けることがよくあるそうです。しかし、出所者を支援していく中で千葉さんは、
「こちらが疑えば向こうも本音を話さない。相手の立場になって考えてみる。」ということを学び、出所者はあくまで「自身と同じ人」として捉えています。
また、「一緒に行動してみる。自分の物差しで行動しない。」ということも、10年に渡り出所者を支援していく中で学んだことでした。
「市役所での手続きができない」や「携帯電話を契約することができない」など、自分が当たり前にできることができない人も沢山おり、一緒に行動することで見えてくる課題があり、適切な支援に繋がるのです。
この他にも多くの学びがありましたが、詳細は録画アーカイブをご覧ください。
③高齢者の課題
実は、高齢者(65歳以上)の検挙割合は高いものとなっています。その数は約42,000人(約25%)です。そして、そうした高齢者の中には貧困などの生活苦から敢えて刑務所に入所する人も少なくありません。
国はこうした現状に対し、「特別調整」といった制度を整えています。これは、高齢者や障害者で帰住先がない受刑者に対して、釈放後の福祉サービスを提供する制度です。
しかしながら、昨年の高齢者受刑者2,800名に対して、制度による支援を受けた者は、370人(13%)とあまり活用されていないといった課題が残っています。
④ハローワークとの連携
現在日本には、「協力雇用主制度」というものがあります。
この制度は、企業が出所者を雇用した場合に、国から報奨金が渡されるといった制度であり、無職の再犯率の高さから就労支援を目的として設けられた制度です。ただし、協力雇用主が24,213社あるのに対し、実際に出所者を雇い入れている企業は僅か6%(1,391社)に留まっています。
実際に千葉さんも、協力雇用主を紹介してもらうべく、出所者と共にハローワークを訪れたものの、ハローワークの職員も協力雇用主制度を把握していなかったということがあり、国として制度を設けたものの末端まで周知されていないといった現状があります。
⑤女性の犯罪
入所者の女性比率は年々上昇しており、その多くは窃盗や薬物乱用によるもので入所しています。女性の出所者もまた、出所後に帰住先も仕事がないため、売春をして生活したり、男性の家に転がり込み新たなトラブルに巻き込まれたりするケースが多くあります。
こうした現状を鑑みて、千葉さんは現在自立準備ホームの女性寮も運営しており、現在は1名が入寮しています。
4.大事にしていること
①対等な関係(信じること)
②全ての人は自分の先生
③人のために全力を尽くす(人の喜びが自分の喜びに)
④希望を持ち続ける
⑤感謝する心
困難を抱えた人は、家族や友人に見放されるなど、ずっと傷ついてきています。そういった人々を支援し「どんな人でも、生き直しはできる」ということを、これからも千葉さんは活動を通して示していくそうです。
この他にも、出所者と暮していく中で起きた、面白かった出来事などもお話しいただいています。
ご興味ございましたら、本記事下部に掲載のURLより録画アーカイブを是非ご視聴ください🙇♂️🙇♀️
【参加者の声(一部抜粋)】
「出所した方の社会復帰し難い状況が理解できました。このような活動を支援している千葉さんの考え、行動は素晴らしいと思いました。普段、センシティブな内容だけにあまり表立って周知/議論されることはないですが、
再犯の芽が出易い環境を少しずつでも変えていかないといけないと感じました。被害者側感情からすると罰することも必要ですが、再犯させないために(影響により他の新たな犯罪者を生まないためにも)更生するプログラムは見直す時期にあると感じました。(甘くするということではなく、自らの過ちに気づいて、より被害者に謝罪できる心と、自分の人生をやり直すということ)」
「 刑務所や更生といった、日ごろ中々接することのできない業界の実情を知らされたと共に、再犯率の改善などに向けた取り組みへの情熱を感じた。
講師の方も、お辛い人生を送られて来られたと思われるが、それを微塵も感じさせないお話しぶりも圧巻であった。」
【NECネッツエスアイの社員向け】
当社社員の方は、下記URLより録画アーカイブをご視聴いただけます。
URL; https://onenec.box.com/s/vbrqjygkuy4lh6vh6tgx5afy1kujriqr
是非、一度ご覧ください🙇♀️🙇♂️
ここまでお読みいただきありがとうございました✨
以上、営業企画本部人材開発部 加藤がお送りいたしました❗❗