Dataikuを活用した受注予測システムを作ってみた
こんにちは!
パーマ命の新米パパ🧑🦱👶 NECネッツエスアイ データ分析チームの峰岸です!
今回は、機械学習プラットフォームであるDataikuを活用した受注予測システムについてご紹介します!
前回の記事はこちら!
Dataikuとは?
Dataikuはデータソースへの接続、データの取得、前処理、可視化、機械学習モデルの構築、評価、分析アプリケーションの開発と運用までをひとつのプラットフォームで実現する、オールインワンの機械学習プラットフォームです。簡単に言うと、データ分析に関することはなんでも一通りできるということです。
さらに、データサイエンスの高度な技術力がなくても、ノーコード/ローコード、GUIベースで設計・構築ができる優れものです。
デモ動画もあるので、より詳しく知りたい方はぜひ公式ページをご覧下さい。
Dataikuを活用した受注予測システム
それでは、今回我々のチームが挑戦したDataikuを活用した受注予測システムの内容をご紹介します。
この活動で目指す姿
各商談の受注確度予測と効率的な商談フォローアップ
当社では、商談管理にSalesforce(※1)を活用しています。
今回は、Salesforceから取得したデータをもとに、Dataikuで構築した機械学習モデルによって各商談の受注確度を予測します。
積極的にフォローすべき商談を明確化することで、効率的な営業活動をサポートし、成約率の向上や受注額の増加を目指します。今期の受注予測と予算達成のサポート
受注確度の高い商談を積み上げ、今期の受注の着地点予測を実施し、予算達成に向けた目標設定や戦略の策定のサポートを目指します。
※1 Salesforce・・・顧客情報を一元的に管理/共有できる統合CRMプラットフォームです。
システム構成
構築した受注予測システムの構成は以下の通りです。
Dataikuでは、Salesforceから取得したデータの前処理(※2)及びモデル構築、予測を実施しています。
また、当社では、DWHとしてSnowflake(※3)を、BIツールとしてThoughtSpot(※4)を採用していて、ThoughtSpotは全社員がアクセスできる環境を整えています。
Snowflakeでは、Salesforceから取得したデータの格納や外部システムデータとの結合、受注予測モデル用の特長量生成を実施しており、Dataikuで生成した予測結果をThoughtspotにレポートとして出力することで、全社員が自由に閲覧・確認することができます。
※2 前処理・・・モデルがうまく学習できるようにデータを加工することです。
※3 Snowflake・・・社内外を横断した大規模なデータ統合を実現するクラウドデータプラットフォームです。
※4 ThoghtSpot・・・リアルタイムのビジネス分析データを簡単に探索、分析、共有できるビジネスインテリジェンスおよびビッグデータ分析プラットフォームです。
予測レポート
下記が実際にThoughtSpotで実装しているレポートの一部抜粋イメージです。
機械学習モデルによる受注確度が、各商談別に付与されています🔢
(↑図①赤枠)
一覧表の形式で要フォローアップ商談を表示することで、商談関係者は金額と受注確度を見比べつつ、優先順位を決めることができます。
また、経営層などの商談関係者以外でも、商談の状況を定量的かつ簡便に捉えられることもメリットだと考えています。
まだ検証中の内容ですが、機械学習モデルがスケジュールや金額等の商談を構成する要素を改善・アップデートすることで、受注確度の改善が見込めると判断した場合は、AIによる受注確度改善に向けたアドバイスを表内に出力しています。(↓図②赤枠)
予測データの活用イメージ
予測データの営業現場での活用イメージです。
苦労したところ
AI精度向上の取り組み
機械学習モデルの予測精度を向上させるために、営業現場、営業現場の数字を管理する部門へのヒアリングを重ねました。
実際のSalesforceの運用方法や、1つ1つのデータの意味を確認し、現場での予測やシュミレーションは、どのような観点で実施しているのか、など現場の経験則を集めていきました。
これらの情報をもとに、オリジナルの特徴量(※4)を多く作成したことが、結果的に予測精度の向上に大きく貢献しました📈
現在では、一部の部門、一部の期間においては、これまで手動で行っていた予測よりも高い精度の予測ができるようになりました🌟
レポート上の見せ方
受注確率80%などの確率の表示だけでは、フォローすべき商談なのかどうかが直感的に判断しずらい!と現場からフィードバックをもらい、確率ではなく『受注濃厚(70%以上)/受注候補(30~70%)/未受注候補(30%未満)』と分類してレポーティングしています📝
些細な工夫ですが、現場の判断が迅速にできるよう、分類名は現場の方と議論しながら改善を重ねました✨受注確度向上活動のためのアドバイス生成
『受注確度が低いのはわかるけど、何をすればいいかわからない!🤷♂️』という現場からのフィードバックをもとに、逆解析(※5)機能を実装し、AIによる受注確度改善のアドバイスをレポーティングするようにしました📝
具体的にアドバイスを提示してみたはいいものの、今度は実際の商談状況的に実現不可能なアドバイスが提示されてしまう場合もあり、『そんなことできるか!🙎♂️』というフィードバックもありました。
利用者から何度もフィードバックをもらいつつ、AIからのアドバイスを掲載する商談を絞ったり、アドバイスの表現を工夫したりと、繰り返し改善を重ねました。
※4 特徴量・・・機械学習のモデルに入力するデータのことです。
※5 逆解析・・・既知の結果から未知の解析条件を推定することです。
例えば、今あるデータから将来、商談が受注するか、その受注率を予測することを順解析と呼ぶ一方で、出力である受注率を○○%向上させるためには、どのような改善をする必要があるかを算出することを逆解析と呼びます。
最後に
今回は、Dataikuを活用した受注予測システムについてご紹介いたしました。まだまだ社内検証中ではありますが、より多くの社内利用者からフィードバックしてもらうため全社公開し、社内の誰でも閲覧可能な状態にしています👀
四半期など区切りのタイミングで受注結果と照らし合わせたところ、一部の部門、一部の期間ではありますが、誤差5%程度とかなり高い精度で予測できています📊
今後は予測精度の向上を図るとともに、営業部のみなさんにもたくさん使っていただくことで、導入効果を上げていきたいと考えています✨
我々データ分析チームでは、このような取り組みを今後も増やしていくことで、全社を巻き込んだ業務効率化とデータ利活用を推進していきたいと思います。
次回もお楽しみに!